大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和38(オ)25 判決

主 文

原判決中、遅延損害金の請求に関する部分を破棄し、右部分に関する第

一審判決を取り消す。

被上告人の前記遅延損害金の請求を棄却する。

その余の上告を棄却する。

訴訟の総費用を一〇等分し、その一を被上告人の負担とし、その余を上

告人の負担とする。

理 由

上告代理人桜井紀の上告理由について。

原判決の認定した事実は、原判決挙示の証拠によりこれを容認することができる。

原判決には、所論のような違法はなく、所論は、結局、原審の裁量に属する証拠の

取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、採用しがたい。

職権をもつて案ずるに、原判決(第一審判決引用、以下同じ)は、本件建物に対

する各根抵当権設定登記の抹消登記請求と本件売買の代金支払義務とは同時履行の

関係にある旨を判示しながら、同時に、上告人に対し、右売買代金の弁済期である

昭和三一年三月一日から右代金の支払ずみまで商法所定の年六分の割合による遅延

損害金の支払を命じていることが認められる。�

しかし、原判決の判示するように、前記各根抵当権設定登記の抹消請求と前記代

金支払義務とが同時履行の関係にある場合には、買主たる上告人は同時履行の抗弁

権の存在により弁済期に売買代金を支払わなくても遅滞の責に任ずべきいわれはな

い。しかるに、原判決が、同時履行の抗弁権の存在を認めながら、特段の事情を示

すことなく、上告人に対し、前記売買代金について、遅延損害金の支払を命じたの

は、違法というべきである。�

そして、原判決の適法に判示するところによれば、上告人は右売買代金について

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遅延損害金の支払義務のないことは、前述したとおりであるから、原判決中、右遅

延損害金の請求に関する部分を、失当として破棄し、第一審判決を取り消して、被

上告人の遅延損害金の請求を棄却すべきものである。�

よつて、民訴法四〇八条一号、三九六条、三八六条、三八四条、九六条、九二条、

八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 松 田 二 郎

裁判官 岩 田 誠

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